すべてはこの瞬間のため

 何年ぶりかで紅白歌合戦を、はじめからおわりまで、ぜんぶ観ました。おめあては『あまちゃん』関連の企画です。
 能年ちゃんが、生放送に出演するなんて、だいじょうぶなのかしら……、とハラハラして観始めたのに、堂々と「天野アキ」ちゃんとして出ていて、女優さんってすごいなあと思ったり(むしろ司会の綾瀬さんのほうがハラハラしたわ)。歌番組である『紅白』のなかにドラマである『あまちゃん』が混在するという、実写映像にアニメーションが融合しているような、観ているほうもどこに重心をおいたらいいかわからないふわふわしたふしぎな雰囲気だったのですが、アキちゃん・ユイちゃんから春子さん、鈴鹿さんの『潮騒のメモリー』のリレーときて『地元に帰ろう』のサンバver.まであって、もうもう、フルーツたっぷりの特大プリン・ア・ラ・モードを食べたような気分に。鈴鹿さんの歌う「三代前からマーメイド」のフレーズは、いいよねえ、このドラマのこれまでの時間のすべてはこの瞬間のためだったと思わせる力があるよねえ。
 そのほか、感想を箇条書きに。
・『紅蓮の弓矢』は、ぜったい、立体機動の演出があるよねと主人と予想していたのに、じっさいにはだれも飛ばなかったことにびっくり。
・西川さんと水樹さんの衣装の早変わりは、ターンするとスカートの色がわる水樹さんが横方向、ケープ状の布がハラリと落ちてロングジャケット(ノースリーブだけど)になる西川さんが縦方向で、それぞれ凝っていてすてき。
・AKB、SKE、NMBと出るなら、ひと枠くらいモーニング娘。がよかった。
ももクロは緑の子が好きです。次点、黄色。
Perfumeは品がよくて観ていて落ち着くなあ。
・しかしすべての女性アイドルグループを凌ぐかわいさを誇ったのがSexy Zone
・そしてどの女性歌手よりも派手なドレスを着ていたのが有働アナ。
・「倍返しだ」のみを除いて、「じぇじぇじぇ」も「今でしょ」も「お・も・て・な・し」もすべて同じ会場にいた、という点にNHKの凄みを感じた。
 ……紅白歌合戦って、たぶん、日本のトップの作り手たちが、膨大な予算と手間暇とを投入してやっと結実しているものなのに、最終的にはなんだか泥臭く垢ぬけないものにできあがっているあたりが、一時期、どうにも好きじゃなかったけれど、それがチーズの臭みみたいでよいところだなー、と思えたのが今年でした。
 その後、カウントダウンは例年通りジルベスターコンサート。あの、すばらしかった去年をさらに上回るようなぴったりさかげん! このカウントダウンは、その年さいごの1秒が8秒くらいに長く感じられて、おとく(?)です。