新陳代謝に期待

 娘、水ぼうそうを発症。
 来月で予防接種を受けられる月齢になるところだったのに……。
「ことしの10月から水ぼうそうの予防接種は無料になるらしいけど、それを待っているあいだに罹ったらいやだから、接種可能になったらすぐ受けさせるね! 女の子だから、顔に痕が残ったらかわいそうだからね!」
 と、まえまえから力強く宣言していたのに……。
 子どもが病気や怪我をすると、親ってだいぶ凹みますね。とわかったのが、今回の収穫(?)。
 平素、娘は夜ぐっすり、昼も自宅ではごきげんなタイプだけれど、さすがに発症後数日は低月齢なみのこまぎれ睡眠とぐずりかた。しかし、そんなのに対応するのはかれこれ8カ月ぶり、主人は残業のため午前様の日々、しかも刻々と増える湿疹……で、とうとう音をあげて実母に手伝いにきてもらったところ、
「1歳目前で罹ってよかったじゃない!」
「これがもっと低月齢だったら、気が気じゃなかったわよー」
「もう少し大きくなってたら、お外に遊びに行きたいって泣かれてたいへんだったわよー」
「顔の痕もきっとすぐよくなるわよー!」
 と、やたら「よかった探し」をはじめたので、いったいなんなのかしらこのポリアンナ……と話を聞いていたら、最終的には、
「はしかじゃなくてよかったじゃない!」
 にまで至りました。いやいや、比較して「あの病気よりまし」っていうのは、たいていの病気にあるんでないの。実母としては、私を励ましたかったのかもしれないけれど、いや、いやいやー、励まされるというより、うーん、すっとんきょうなことを言い出したなあ……という気持ちのほうが強いわ。
 娘の発疹の分布はかなり派手で、背中とお腹いちめん、おむつのなか、脚、足の裏、腕、指先、顔、髪の毛の生えているところ、と、ようするに全身。とくに顔がひどく、また手が届くので娘自身が掻いてしまい、かさぶたを掻き壊してしまったところもちらほらで、あまりの惨状に、いっとき、私が卒倒しそうになりました。
 でも「掻かないでね」って言って通じる年齢でもないし。というか、あと一、二歳年かさだとしても、「掻かないで」と言ったってたぶん掻いちゃうよねえ。じゃあ、さいしょから言う必要ないなって判断できて労力が省エネできたよかったのか? ……と、最終的には、私自身よくわからないポジティヴシンキングに陥りました。できてしまったものはしょうがないから、0歳児の回復力と新陳代謝に期待したいものです、というのが、いまの心境。