バレエと猫
いただきもののチケットで、外国からきたバレエ団の公演を観に行ってきました。
生バレエは人生初です。
和装で出かけるつもりだったけれど、演目は日本初演のコンテンポラリーばかりで、なにかにちなんだ格好をするような手がかりがまったくありません。それで、「パ・ドゥ・シャ」っていうことばがあったなあと思いつつ、猫の帯。牽強付会!
帯留がわりに帯締につけたのは、お花のようなポンポンつきのヘアゴムです。ゴムをホチキスでメビウスのかたちに留めたら、しっかり固定されたし、花弁でゴムも隠れて、なかなかの出来ばえ。でも、色が白っぽいので、まるで男の人の紋付羽織の羽織紐みたい……。
肝心のバレエのほうは、おおまかな設定やストーリーを知っているクラシックの作品ではないということで、すこし不安でした(喩えるなら、「名前も作品も知らない現代抽象画家の個展を観に行く」並の不安)。実際に観てみると、不安は杞憂だったのが半分、的中したのが半分といった印象でした。暗い雰囲気の作品って、「暗いなあ」ということしかわからない。踊りのテクニックとしてどうこう、と評価できるほど見巧者でもないし。でもさいごの幕は、よく知ったパッハベルの『カノン』にあわせて、ひらひらっとした衣装を纏ったダンサーたちが笑顔で踊っていて、観ているだけで楽しくなるような、ああ、バレエってやっぱりすてきなものなんだなあ、と思わせてくれる作品で、それを生で感じとれただけでも、来た甲斐があったと思いました。
(お席はB列で、舞台と近すぎて、もはや、いい席なんだかどうなのかすらわからない。でも、席運の悪い私は、自力では二度と取れない席であることでしょう)
チケットをくださった方に寄ると、「『今世紀を代表する』じゃなくて、『今世紀を代表することが期待されるダンサー』なんだよねー」とのことでした。すてきだったので、ぜひぜひ今後もがんばって、数年後、十年後くらいに、ああ、あのひとね! って言われるような存在になってほしい。そうしたら、私はあのひとの公演を観たことあるのよって、自慢できるじゃないですか。